豊田合成株式会社第3回 動脈硬化予防啓発イベント

食で血管を若々しく

バランスの良い食事で健やか長寿!

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実施日時
2008年 7月 5日(土) 13:30~15:30
場所
稲沢市民会館 大ホール
(〒492-8145 愛知県稲沢市正明寺3-114)
参加
豊田合成株式会社 社員・家族 442名(地域住民 若干名)
講師
松田 文子(宇都宮中央病院糖尿病センター所長)
渡辺 満利子(昭和女子大学大学院生活機構研究科教授)
山科 章(東京医科大学)
司会
宮川泰夫(元NHKアナウンサー)

実施概要

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当日は442名の社員およびそのご家族と若干の地域住民が参加。豊田合成株式会社 高野修司 安全健康推進部 部長の健康イベント実施についてのご挨拶のあと、司会の宮川泰夫アナウンサーによる導入説明、糖尿病セルフチェックでイベントはスタート。松田先生による動脈硬化と糖尿病の解説、食生活チェックシートと渡辺先生による動脈硬化予防の「食」についての解説、簡単レシピの紹介、そして山科先生による生活改善メニューの結果評価と動脈硬化予防についての解説があり、参加者は熱心に視聴した。そして3人の講師による、Q&A(質疑応答)を行い、最後に山科先生の動脈硬化予防啓発センター運営委員としてのご挨拶で終了した。

実施した啓発イベントの内容(実施順に)

(1) 会場参加者全員で糖尿病セルフチェック
松田教授の講演に先立ち、宮川アナウンサーより配布パンフレット左上のチェックシートを用いて全員が自分の糖尿病危険度を調べた。(※資料:パンフレット)

チェックシート

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(2)予備群から進行中・動脈硬化と糖尿病
松田 文子 先生(宇都宮中央病院糖尿病センター所長)

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1. 動脈硬化を加速させる糖尿病
糖尿病は動脈硬化発症の主な危険因子
糖尿病は動脈硬化を加速させる
狭心症患者の78%が糖代謝異常

2. 糖尿病を知る
糖尿病とはどのような病気か
糖尿病の合併症(細い血管):神経障害、網膜症、腎症
糖尿病の合併症(太い血管・動脈硬化):心筋梗塞や脳梗塞など引き起こされる
糖尿病(高血糖)が動脈硬化を起こすしくみの解説
チェックシートによる糖尿病のリスクチェック 等について解説
糖尿病の判定基準
「空腹時血糖」と「ブドウ糖負荷2時間後の血糖値」による判定方法→隠れ糖尿病の可能性

3. 「予備群」から動脈硬化は進行する
予備群だからといって安心してはいられない。ただしライフスタイル(食事と運動)を変えることで効果があることのエビデンスが現在集まってきている。

4. 今からでも遅くない!進行は阻止できる
糖尿病の危険因子・原因:インスリンの作用不足、インスリンが出ていても充分活用できない状況
糖質やカロリーのとりすぎ:糖質はインスリンを大量に必要とする
肥満:インスリンの作用を邪魔する物質が分泌される
筋肉の減少:筋肉を使わないと血糖の燃焼効率が低下
日本人であること:日本人は元々インスリンを補給する力が弱い人種
* 糖尿病の予防においては、食事と運動をすることによって確実に予防できる!

(3)会場参加者全員で自己チェック
「食生活チェックシート」を用いて全員が自分の食生活について調べた。
(※資料:食生活チェックシート)

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(4)動脈硬化予防の要、現代人の食から日本の食へ
渡辺 満利子 先生 (昭和女子大学大学院教授)

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チェックシートの結果診断

1. 日本の「食」の現状
生活習慣病急増の要因は「食べ方」にある?
糖尿病やメタボが激増している一方で、国民全体の摂取エネルギーは30年前より下がっている! これは終戦後の食糧難時代を下回る数値。
→ 問題は朝食とは名ばかりの朝食、夜9時以降のまとめ食い、子どもにまで及ぶ食習慣といった「食べ方」等にあると考えた。

FFQW(食物摂取頻度調査)の結果、糖尿病予備群(男性)の例でみた食品別エネルギー充足率は肉類、油脂類、アルコール摂取が極端に多く、野菜類が少ない
糖尿病予備群の方たちに対し、改善のための以下の内容の「新栄養教育」を行った結果、ブドウ糖負荷2時間後の血糖値が15.2%改善、1日の摂取カロリーも6%改善
・適正エネルギーの摂取
・朝、昼、夕の食事を1:1:1の割合で
・朝ご飯はご飯、みそ汁、野菜、おかず和食の推奨
・夕食にたくさん食べることをやめさせた

2. カギは「朝ご飯」
朝ご飯を充実させて、夕ご飯を控えめにし、3食を均等にとったことで、改善が見られたが、中でも朝ご飯の充実が大切。
時間遺伝子の仕組み
人は朝日を見ることで体が目覚める。それに加え、朝食を食べることで全身の末梢神経にサインが行くことがわかった。これによって朝食のエネルギーがすべての臓器をめざめさせ、余すことなく消費される。学ぶ(知)、理性や感情(情)、本能(意)これも朝食によって神経細胞に働きかけ正常にコントロールされる。

その対極にあるのが、夜遅い食事。朝の食欲低下にも繋がる。
男性の肥満が増加している一方で若い女性は「やせ」が増えているが、妊娠中の低栄養にさらされた胎児は飢餓状態となり、少ない栄養をしっかり取り込もうとする。栄養を取り込みやすくて消費しにくい体となるため、成人になると肥満になる確率が高く、動脈硬化増加につながるという問題がある。

3. 日本人が食べるべきもの
ご飯、魚、野菜、フルーツ、大豆。
大事なのは食事のリズム。「朝食の充実」と「夕・夜食のとりすぎ改善」、「油脂類を控え、適量のアルコールに野菜、果物を充分摂取する」。朝食で生活習慣病を一掃しましょう!

(5)動脈硬化をよせつけない簡単レシピの紹介

1. ミネストローネ(具だくさんスープ)

2. 手軽にダイズと野菜のサラダ

ポイントは野菜たっぷりで、大豆が入っていること。動脈硬化の予防には、大豆のレシチンが効果的。レシチンは細胞膜を形成する成分で、肝臓や脳神経、血液などの代謝に関与し、脂質代謝を活発にする働きがあります。

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(6)生活改善メニュー参加者の結果報告
「運動」、1日1万歩。「食事」、たくさんの野菜に、肉より魚。そして「禁煙」。という生活改善メニューを、動脈硬化予防啓発イベントに参加している、ある企業の有志32名の方が半年間にわたって挑戦していただいた結果

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体重:半年間で、平均3.2㎏の減量に成功しました。
歩行数:目標、1日10,000歩に対し、1日平均10,577歩
32名中19名は、毎日10,000歩以上歩いて、平均4.4㎏減量しました。一方、10,000歩以下の13名は、平均1.3㎏の減量にとどまったということです。

今年の健康診断を受けた32名中19名の平均値です。
・中性脂肪… 163.6→87.1
・収縮期血圧… 118.3→116.1
・LDLコレステロール…121.6→118.0
・血 糖 値… 96.4→95.3

半年間で3.2キロの減量は、体重の5%減という目標値に通りで非常に理想的
中性脂肪の低下は食生活がかなり改善したと思われる。
LDLは元々の数値がそれほど高い値ではないので目立たないが、低下は評価したい。
血圧の値に注目してほしい。たった2しか下がっていないじゃないかと思うかもしれないが、日本国民全体の血圧が1mmHg低下すると、脳卒中になる人は毎年1万人減少する。
ハイリスクアプローチと集団アプローチ
血圧が高ければ高い人ほど治療をすれば改善される。だが、問題はほどほどに血圧が高いにもかかわらず、病院に来ない人。こうした人たちは、今日の催しのような「集団アプローチ」で皆さんがちょっとした努力をすることが重要といえる。

睡眠時無呼吸症候群と動脈硬化
もうひとつ知っておいてほしい病気が睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群のチェック項目。以下で3つ以上該当すると可能性がある。
・昼間いつも眠い
・いくら寝ても眠い
・朝の目覚めがすっきりしない
・朝起きると頭が痛い
・居眠りをよくする
・記憶力、集中力が落ちてきた
・夜間、何度か目を覚ます
・夜間、何回もトイレに行く
・いぎきがうるさいと言われる
・精神的に不安定になる

この病気は簡単に発見できるので、思い当たる節があれば病院で見てもらってほしい。

(7)質疑応答
事前質問2問のほか、会場から2問質問を受けるなど、参加者と講師による活発な質疑応答が行われた。

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(質問1)糖尿病を発症すると健康な人と比べて動脈硬化をどのくらい加速させるのでしょうか。
(松田先生)
まず、糖尿病になると平均余命が10年~15年短くなる。その原因が動脈硬化のエンドポイントである脳梗塞、心筋梗塞。それから女性は一般的に男性と比較して糖尿病が少ないといわれているが、糖尿病になると男性と同じ平均余命になってしまう。

(質問2)残業でどうしても夜遅い食事になるが、どのような食事が良いか教えて欲しい。
(渡辺先生)
夕食といいますと、ごはんとタンパク質と野菜になりますが、その中のひとつか2つを5時とか6時に食べたらよいと思います。例えばおにぎり2ついただくとだいたい300kcalになります。例えば夕食に600kcalとらなければならないということでしたら残りを帰宅後に、あったかいスープとか豆腐とか消化の良いものを召し上がると良い。

(質問3)動脈硬化そのものを測定する方法はありますか?
(山科先生)

それはできます。動脈硬化には2つの要素があります。そのひとつは血管の壁が厚くなります。例えば1回目にやりましたが超音波を頚動脈にあてて測ることができます。最近はCTやあるいは眼底写真でみることもできます。もう一つの方法は血管が硬いかどうかみる。手で触ることはできないので機械で波形からかたさをみることができる。あるいはもっと手っ取り早いのは血圧をきくだけでもある程度わかる。血管が硬くなると血圧の上は高くなって、逆に下は低くなります。最高血圧と最低血圧の幅が50以上差あるというのは結構血管が硬くなってきているとみられます。

(質問4)遺伝子組み換え大豆のことと果物の糖分について教えていただきたい。
(渡辺先生)

遺伝子組み換えをした大豆については、安全性が確認されていないのでやはり避けていただきたい。それから果物については、確かに糖分が多いが、それ以上に先ほどの活性酸素を中和したり、カリウムが多い、ビタミンCが多い、食物繊維が多いといった優れたものをもっています。ですから適量食べることが大切。例えば、ビタミンCが多いイチゴでしたら15粒ぐらい、オレンジなら1個ぐらい、りんごも1個ぐらいでしたらそれほど糖分を取りすぎるということはない。

・・・など、参加者と講師による活発な質疑応答が行われた。

(8)主催者からのメッセージ
動脈硬化予防啓発センター運営委員 山科章先生(東京医科大学教授)

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動脈硬化予防啓発センター運営委員の一人として会の終わりにご挨拶させていただきます。
豊田合成の皆様、ご家族の皆様、そして稲沢市民の皆様、3回に渡ってこのプログラムにご参加いただき、どうもありがとうございました。
最初の会は「動脈硬化を知る」、2回目は運動の話しを中心に、そして今日は食の話しを中心に多彩な講師の先生に来ていただいて話をしていただきました。
そしてもう一箇所東京でやっているところがあるのですが、その中の一部の32名の方が積極的に1回目の後に参加してくださって、早速成果が出てきています。私の話しにもありましたように、リスクの高い人だけがやればよいというのではなく、国民全体がやる必要があると思います。そういう意味でこの動脈硬化予防啓発センターでは、みなさん国民全体の方が、こういった健康に関心を持って、日々の生活習慣の中で、運動や食事や、こうしたことに関心を持っていただいて、動脈硬化で問題となる病気、特に脳卒中や心筋梗塞にならないようにしていただきたいということで企画してここまでやってまいりました。ぜひ先ほど宮川アナウンサーのお話にありましたように、明日からではなくて、今日から、今日の夕食から始めていただければと思います。
私の好きな言葉に「始めなければ始まらない。始めるのに遅すぎることはない。」というものがあります。「もういいや、こんなに太っているのだから治らない、もう歳だから」ということはないと思います。ただ、始めなければ始まりませんので、早速今日から始めていただければと思います。それがこの会の目標であり、目的であります。3回にわたって本当にどうもありがとうございました。
最後になりますが、この会に共催してくださった豊田合成の会社の皆様、それから、支援してくださった動脈硬化予防研究基金、そしてこのすばらしい会を企画、運営してくださったNHKエデュケーショナルの皆様、それから、宮川アナウンサー、そして講師の先生方に感謝してこの会を終わりたいと思います。最後までどうもありがとうございました。

イベントへの反響など

参加者の声から
印象に残った話、感想等

今後もこういうイベントを続けて欲しい。
メタボリックシンドロームの背景に、大人の事情(残業での夜遅い食事)のみならず、子供にまで影響(夜型生活)が出ている。
無呼吸症候群の手術をしたばかりなので、良い話を聞きました。大いに参考になりました。
夜遅く食事すると、朝の食欲が湧かなくなること。
朝食をとることの大切さを再認識した。毎日歩く事を持続させることが大切だと思った。
糖尿病の話は怖いと思った。実際、仕事をしていたら、帰りも遅いし、運動もできない、食事を遅くなる。悪くなるのは当然だが、山科先生のお話の中で、自分自身が努力すれば必ず良い結果が得られると再認識しました。なかなか難しいことだと思います。
若い女性の標準より低いカロリーが生まれてくる子供たちに影響すること。
渡辺先生の倹約遺伝子の話しはよかった。
渡辺先生の栄養教育の結果に興味をもった。朝食の大切さ、夜食を控えることの必要性を痛感した。
意識的に考え方を変えないと実行できないと思う。簡単にはできないと思った。
会社の食堂メニューにカロリー表示をして欲しい。
日本人特有のもの(遺伝子等)があるのは知らなかった。
朝日と朝食の関係の話健康レシピをもっと多く紹介してほしい。
食事のとり方で病気になりやすい
日本人はもともとインシュリン分泌能力が欧米人より劣っていることをはじめて知りました残業で遅く帰ると食事・遅くなる。だからあまり食べない。これはだめで、とにかく夕食食べる。夜は少しだけ(野菜など)食べる。これを今日から実行します。
睡眠時無呼吸症候群には思い当たる節があるので一度受診してみたい

 

一般社団法人動脈硬化予防啓発センター