しっかり理解!生活習慣病と動脈硬化
- 実施日時
- 2008年 2月 2日(土) 13:30~16:00
- 場所
- 稲沢市民会館 大ホール
(〒492-8145 愛知県稲沢市正明寺3-114) - 参加
- 豊田合成株式会社 社員・家族 470名(地域住民 若干名)
- 講師
- 山科 章 (東京医科大学教授)
代田 浩之(順天堂大学医学部教授)
宮崎 滋 (東京逓信病院院長) - 司会
- 宮川 泰夫(元NHKアナウンサー)
実施概要
当日は470名ほどの社員(うち約100名は家族)と若干の地域住民が参加。豊田合成株式会社 参与 安全健康推進部部長 高野修司様の健康イベント実施についてのご挨拶、井形昭弘動脈硬化予防啓発センター運営委員長ご挨拶(代読)のあと、司会の宮川泰夫アナウンサーによる導入説明、動脈硬化の映像上映でイベントはスタート。安全健康推進部のご協力による豊田合成社員の健康データを用いた、社員健康度紹介のあと、3人の講師の先生により、動脈硬化の最新情報による解説があり、参加者は熱心に視聴した。イベント後半は、生活改善メニューの発表、そして3人の講師による、Q&A(質疑応答)を行い終了した。
実施した啓発イベントの内容
(1) 会場参加者全員で自己チェック
サントリー社で活用したものと同様の「動脈硬化度チェックシート」を用いて全員が自分の動脈硬化危険度を調べた。
(2)映像上映
動脈硬化のしくみを紹介するコンピュータグラフィック映像の上映 (血液中のLDLコレステロールは必要以上に増加すると、血管壁に潜り込み酸化LDLとなる。それをマクロファージが異物と認識し、キャッチして自滅、結果アテロームプラーク<粥状の隆起>が形成される。ストレスで、これがはがれると血栓へ進展するなど、基本のメカニズムを解説)
(3)豊田合成社員の健康度
血圧(収縮血圧/拡張血圧)、中性脂肪
HDLコレステロール、血糖値、BMI などの項目について
社員の健康度をチェック。
(4)映像で見る血管の老化
山科 章 先生(東京医科大学教授)
血管の構造解説 (動脈は3層の構造を持つ)
動脈硬化のはじまり 内皮機能の障害(弾力度が低下する)
ライブで見る血管映像
頸動脈エコー測定器を使った血管映像 宮川泰夫アナウンサー実演
最近の画像診断の進歩 心血管MR全身MIP画像、冠動脈CTなど。
(血管の様子を目で見ることができるようになってきた)
(5)心筋梗塞から身を守る
代田 浩之(順天堂大学医学部教授)
心筋梗塞とは
心臓病の危険因子
喫煙(心筋梗塞後の死亡率に対する喫煙の影響、夫の喫煙量からみた妻(非喫煙)の冠動脈疾患に対する相対危険度)、高血圧(脳室系へ破裂した大量の脳内出血等)、脂質異常症(コレステロールと動脈硬化の深い関係)、糖尿病(心筋梗塞と糖尿病の関係)
10年後の冠動脈疾患死亡のリスク評価チャート解説(動脈硬化学会発表のデータ)
心筋梗塞にならないための生活指導 ~まとめ
(6)肥満は万病のもと失敗しないダイエット
宮崎 滋 先生(東京逓信病院内科部長)
危険な脂肪とは?
肥満と肥満の判定基準 →男女ともにBMI(体格指数)が25以上。
脂肪の種類 内臓脂肪と皮下脂肪 内臓脂肪が引き起こす病気
内臓脂肪が蓄積すると→「動脈硬化」や「糖尿病」、「高脂血症」、「高血圧」、「脂肪肝炎」、「脳卒中」、「心筋梗塞」の原因に!
メタボリックシンドロームとは
腹囲が、男性85㎝、女性90㎝以上《※見直しの動きもある…という話もプラス》なおかつ、「脂質異常」「血圧高値」「高血糖」のうち、2つ以上に該当
※動脈硬化チェックシートの診断
失敗しないダイエットのポイント
自身の数値を自覚すること、食べすぎを防ぐ口を小さくし、40回噛む、飲酒を減らす、あえてゆっくりと、こまめに体を動かす。
最終的に食事+運動で体重の5%を落とす。
ダイエットを長続きさせるコツ
『「食べない」だけでやせようと思うな』
『「運動」だけでやせようと思うな』
(7)血管を若返らす!「生活改善メニュー」発表
1. 運動1日10,000歩
たとえば自宅から駅まで自転車やバスをご利用の方は、徒歩に切り替えてみたり、社内での移動をエレベーターから 階段にするなどで歩数をかせぐなどの工夫を。
2. 食事は、肉より魚、野菜は毎日、腹八分目を。
野菜または海藻類を毎日1食以上。週に5食は魚料理を。揚げ物は避ける。
肉料理は赤身を選び、脂肪分はできるだけ避ける。
3. 一日も早い禁煙を。禁煙だけで脳卒中や心筋梗塞で亡くなる率が半減します。
その方法としては、ニコチン代替療法(ニコチンガム、 ニコチンパッチ)、禁煙外来などを活用する。
(8)質疑応答
事前質問3問のほか、会場から3問質問を受けるなど、参加者と講師による活発な質疑応答が行われた。
(質問1)メタボリックシンドロームの判断基準が国によって違うのはなぜか?また、なぜ日本だけ女性の腹囲の値が男性より大きいのか?
(宮崎先生)欧米人と東アジア人によって体格が違うので、民族に併せて基準を作っている。また男女の違いについても日本ではCTで内臓脂肪を測定しているが、外国ではCTはあまり使っていない。日本と外国では基準の作り方が違う。
(質問2)女性は50歳頃よりコレステロールが上昇すると聞きましたが、こういった生活習慣に寄らないものが原因の場合、どういったことに注意していけばよいのですか。また、数値をさげていくことはできるのでしょうか。
(代田先生)女性はもともとコレステロールが高めになっている。また、体質の変化が閉経とともに起きてくるが、間食や特に甘いものが多くなることを気をつけるとかなり改善してくる。
(質問3)長年不摂生をしてきましたが、今から血管を若返らせることは可能ですか?
(山科先生)若返りの前に、まずふけないことが大切。血管が硬くなる早さをみると、血糖値が110以上ある人は、ない人の倍以上早い。血圧の上が130、下が85を上回る人で、やはり約2倍早い。両方で5倍近く早くなる。血糖値と血圧をこの基準に保つことでかなり進行を抑えることができる。さらに若返るとなると、そのためには運動をすることが一番。
・・・など、参加者と講師による活発な質疑応答が行われた。
イベントへの反響など
<実施後アンケート調査>から
5段階評価(非常によかった5点、よかった4点、どちらでもない3点、あまりよくなかった2点、よくなかった1点)での平均値は4.5と高い評価。
参加者の声から
動脈硬化になるメカニズムが理解でき、1万歩/日と禁煙をします!
娘が豊田合成の社員のおかげで私どももすばらしいセミナーに参加できた。改善します!
タバコの害がとても体に悪いことを再認識できた。主人にはタバコを是非やめてほしい!
2回目、3回目も是非出席したい!
職場でタバコを吸う人が多くて困っています。課長・主任タバコをやめてください!