サントリー株式会社第2回 動脈硬化予防啓発イベント

運動で血管を若々しく

実践!有酸素運動と筋力アップで脱メタボ!

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実施日時
2008年 5月30日(金) 16:00~18:10
場所
サントリーワールド ヘッド クォーターズ
大会議室(東京 台場)
(〒135-8631 東京都港区台場2-3-3)
参加
サントリー株式会社 社員200名
講師
島本 和明 (札幌医科大学教授)
久野 譜也 (筑波大学大学院准教授)
最上 あおい(健康運動指導士)
司会
久田 直子(NHKきょうの健康キャスター)

実施概要

当日は首都圏の事業所勤務者を中心に、200名ほどの社員が参加。動脈硬化予防研究基金運営委員長開原成允様のご挨拶、サントリー取締役人事部長栗原信裕様のご挨拶のあと、司会の久田直子アナウンサーによる導入説明、高血圧セルフチェックでイベントはスタート。動脈硬化と高血圧の解説、運動の効果の解説があり、参加者は熱心に視聴した。イベント後半は、「簡単筋トレ」の実技指導、そして3人の講師による、Q&A(質疑応答)を行い終了した。

実施した啓発イベントの内容

(1) 会場参加者全員で高血圧セルフチェック
島本教授の講演に先立ち、久田アナウンサーより配布パンフレット左上のチェックシートを用いて全員が自分の高血圧危険度を調べた。(※資料:パンフレット)

あなたは予備軍? 高血圧セルフチェック

あなたは予備軍? 高血圧セルフチェック

写真あなたは予備軍? 高血圧セルフチェック

(2)動脈硬化と高血圧
島本 和明 先生(札幌医科大学教授)

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  • 動脈硬化とは
    動脈硬化のしくみについて、動脈硬化と高血圧がどう関わるのかについて動画を用いて解説。動脈硬化の危険因子:高LDLコレステロール血症、喫煙、高血圧が3大危険因子。これにメタボリック・シンドロームが加わった。
    動脈硬化が原因で起こる病気:頭の脳血管で起こると脳卒中。心臓を取り巻く冠動脈で起こる狭心症、完全に詰まると心筋梗塞。腹部の大動脈が腫れてコブ状に腫れる腹部大動脈瘤。腹部から下の、足などの血管に起こる閉塞性動脈硬化症。
    *血圧が高いと動脈硬化の原因となる血管を物理的に傷つけることから、血圧は非常に重要ということで、血圧について解説。上の数値、下の数値の意味、正常な血管と動脈硬化の血管の違い、高血圧になる理由、仮面高血圧等について解説。

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  • 久田アナウンサーによる血圧測定の実演
    正しい測定の方法についての解説
  • 危険な要因・メタボリック・シンドローム
    内臓に脂肪が蓄積するリンゴ型と下半身に皮下脂肪が蓄積する洋ナシ型の肥満のタイプにおいて、危険なのは男性に多いリンゴ型の内臓脂肪型肥満であるという話しに引き続き、メタボリック・シンドロームの基準についての解説が行われた。なお、メタボリック・シンドロームの男性は、そうでない人と比較して2倍心臓病になりやすい。さらに糖尿病は2~4倍、慢性腎臓病は3~5倍なりやすい。病気でないものが重なっているのがメタボリック・シンドロームであり、今年から保険者に特定健診、特定保健指導が義務化されている。
    いずれにしても高血圧は非常に頻度が高く、糖尿病、肥満、高脂血症に一緒になりやすい。是非ここに注目して、ご自身で血圧を測り、そこからいろいろなリスクを減らしていくことに気をつけていただければと思います。

(3)会場参加者全員で自己チェック
「運動不足チェックシート」を用いて全員が自分の運動不足を調べた。(※資料:運動不足チェックシート)

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(4)動脈硬化予防の運動は、1に有酸素運動、2に筋トレ!
久野 譜也 先生 (筑波大学大学院准教授)

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  • 確実にメタボを予防するためには
    科学的に確認されている組み合わせを実践すれば、必ず成功する。メタボ予防は究極的な寝たきり予防である。脳卒中と転倒骨折は運動と食事でコントロールするとかなりの確度で予防が可能。
  • 運動で行う動脈硬化予防での重要点
    (1)歩くことは足し算、(2)歩くと(有酸素運動)、動脈が柔らかくなる、(3)1週間単位でモニターしよう
  • 予防の鍵は筋肉の量
    動脈硬化予防には有酸素運動と並んで筋肉の維持が重要。年齢と共に筋肉が減少することがメタボに影響する。生活の中でのエネルギー消費のうち、生活活動による消費は30%ほどで、70%は基礎代謝の量。基礎代謝のおよそ4割を筋肉が占めるから、基礎代謝は筋肉が影響している。筋肉量を増やすにはウォーキングでなく、筋トレが必要。食事中心の減量では筋肉量の低下を引き起こし、太りやすくなる。
  • ライフスタイルをかえるだけで、減量が可能

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(5)『今日から挑戦!簡単筋トレ』
最上 あおい 先生(健康運動指導士)

*筋トレを効果的に行うためのポイント

呼吸は止めずに行う
ゆっくり動かす

*ステージの配置変更後、筋トレの実施

サントリーの方2名が壇上で実演。配布パンフレットの裏に載っている運動(下半身の運動のみ)を「1」「2」「3」「4」の順で実践しました。

1.足上げ筋トレ

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2.両足上げ筋トレ

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3.中腰筋トレ

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4.腰引き筋トレ

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以上、4種類の筋トレの実演を実施

(6)質疑応答

事前質問5問に対して、講師による詳細な解説が行われた。

(質問1)高血圧の人は朝の運動を控えた方がいいというのは本当か。
(島本先生)
夜、寝ているときは身体が休んでいて脈拍も少ないし、血圧も低い。朝は寝ている状態から身体が目覚める段階にある。それが起きる1時間まえぐらいからアドレナリンの嵐とかカテゴラミンの嵐とか、目覚めるときにホルモンが一気に出てきて、起きてからの活動を維持しようとしてくる。これは当然の生体の反応である。だから朝起きる少し前から血圧が上がり始めている。そういうときに運動をすると一気に心臓に負担がかかり、場合によっては脳卒中や心筋梗塞を起こすことがある。
実はジョギングを提唱していたホワイト先生という人が朝ジョギングをしていて心筋梗塞で亡くなられた。それぐらい朝は気をつけたほうがよい。ただ、朝運動する事が決して悪いというわけではない。まずはジョギングの前に血圧を測って問題ないことを確認してから行うことが重要。それから怖いのは心筋梗塞。血圧が高い、動脈硬化がある、糖尿、高脂血症といったリスクがある人は事前に負荷心電図という検査をしておいて、要は狭心症がないことだけは確認しておいた方がよい。こうした検査を前もってしておくことと、運動する前に血圧を測ること、これで大丈夫だという事を確認しておけばまず問題はない。これを行わずに突然に運動すると確率は高くないが事故を起こす可能性が高くなる。そういった意味で気をつけたほうがよいといえる。

(質問2)健康のために運動をするのだが、すぐにバテてしまう。そんなときに対処する良い方法を教えて欲しい。
(久野先生)
まずは2つのことが言えると思う。1つ目はバテるほど運動しているということは適切な量ではない。そこで、いまの自分の身体にあったプログラムを提供してくれるところへ行っていただければ、バテないと思う。それから、皆さん日々同じ体調ということはありえないので、例えば先ほどの筋トレでも10回ではなく体調が悪ければ5回でも構わない。一生やっていくためには1日ぐらい量を減らしても構わない。そういう考え方を持っていることがポイントだと思う。

(質問3)10年来血圧降下剤を服用している。服用前は下が95~100、上が140~155、服用後は下が85~90、上が130~140となりました。こんな効き方でよいのでしょうか?服用量を増やした方がよいのでしょうか?ちなみにBMIは22です。
(島本先生)
BMIが22というのは平均的でまったく肥満のない方です。血圧が95~100、140~155というのは軽症の高血圧になります。目標は149未満になるので、この方はいまちょうど良い血圧に管理されている状態ですので、目標としてはこのままで全く問題ないです。ただし、先ほどいいましたように、これは病院で測った血圧だと思いますので、是非家で測っていただいて、その結果足りないということもあるかもしれませんし、薬がいらないということもあるかもしれません。家で測った血圧と両方を参考にしていただけるとよいと思います。

(質問4)赤筋、白筋などの全身の筋肉バランスと病気との関連はありますか?
(久野先生)
筋肉は大きく分けると2種類の筋肉がある。今年ちょうど北京オリンピックですが、スプリンターのような短時間でものすごく大きな力を出す、そういうときに力を発揮するのがここでいう白筋。ただこれはいま人の場合は白筋とは言わずに速筋といいます。逆に赤筋は遅筋と呼びますが、それはマラソンのように強さは低いのですが長時間持続するようなときに使う筋肉。このような2種類の筋肉で構成されている。病気に関係するということでいえば、今日は筋肉をつけてくださいということを基礎代謝の関係だけで話をしましたが、糖尿病の方がインスリン抵抗性が上がると問題になるということはご存知かと思います。運動療法がインスリン抵抗性を改善するのに用いるとよいといわれますが、最近では糖尿病の患者さんでも筋トレをやっていただくことが一般的になってきている。それはどうしてかというと、血糖から糖を筋肉に取り込んで消費してしまえば問題ないのだが、そこに糖を取り込む「グルトフォー」という蛇口の役割を果たすものが有酸素運動ではあまり増えない。筋トレのような強いテンションをかけて行う、つまり速筋を鍛えるようなトレーニングをすることで増えるということが分かってきたので、糖尿病の患者さんに筋トレをしていただいている。そういう意味で糖尿病にならない、インスリン抵抗性をあげないために筋トレをすることは有効である。ただし筋トレだけでは問題解決はもちろんしません。有酸素運動と筋トレあわせて100点であるということを確認してください。
その際の筋トレは先ほど紹介した内容でよいが、さきほどゆっくりと動かすことをいいましたが、速い動きでは筋肉が太くならないことがわかってきています。ですから、筋肉に力が掛かっている時間が長いほど太くなることがわかっているので、筋肉が太くなる意味もあります。

(質問5)有酸素運動や筋力アップに効果的な食べ物はありますか?その摂取タイミングも教えてください。
(久野先生)
いくつかありますが、例えばよく分かっているものでいえば、筋トレの効果を最大限に高めるということでは、筋トレ直後30分以内に特にタンパク質をとっていただきたい。筋肉というのはタンパク質でできているのですが、トレーニングしていただいてもタンパク質をとらないと言うことは材料が入ってこないとになるので、筋肉は太くならない。特にトレーニング後30分以内にタンパク質をとるということは、ホルモンが動いて経口から入れたタンパク質がより優先的に筋肉に変わりやすいということが分かっている。もちろんこうしなくても効果は出るが、より効果がでやすいと捉えていただければと思う。

・・・など、参加者と講師による活発な質疑応答が行われた。

(7)生活改善メニュー中間報告

サントリー株式会社社員の有志32名の生活改善メニュー実施結果

生活改善メニュー動脈硬化を予防するための3項目
1日1万歩を目標にした運動。
肉よりも魚や野菜を多くとる。魚については、週に5食はとることを目標
禁煙

実施結果

体重:メニュー開始時から-2.9Kg

歩数:10,408歩/日(4月の平均歩数)
 1日平均歩数1万歩以上の人:18名中15名が減量に成功
 1日平均歩数8千歩未満の人: 5名中減量成功者は2名

この4ヶ月間の平均歩行数を距離に換算すると、およそ1,000㎞。

(東京から本州西端の、山口県まで歩いた距離に相当)

(島本先生コメント)
やはり歩いた人の効果が高かったということですが、それだけではないと思う。歩くことに対するモチベーションが高い人は食事もいっしょにできているはず。逆に8千歩行っていない方は食事のモチベーションも落ちていた可能性が高い。これは恐らく歩くことに代表された生活習慣の改善が全般的にうまく行っていた結果ではないか?

(久野先生コメント)
私も島本先生と同じ感想を持っている。歩けるということは食事も含めてやれている、良い循環ができていると思われる。それから先ほど言い忘れましたが、1万歩を目標にする際に、よく「まず千歩から増やしましょう」ということをよくいいますが、我々の研究室の研究の結果からは千歩増やしても何も変わりません。継続的に続けられる秘訣というのは早く効果を実感できること。そのためにどれくらい増やせばよいかということでいうと、研究結果からは3千歩。それで約100キロカロリー分1日身体活動を増やすということで効果が出るということがわかってきているので、1日1万歩行けている方は続けていただいて、そうでない方もまず、今から3千歩増やしていただくと何かが変わることを実感できると思います。それから、最後の感想ということでいうと、これに加えて筋トレをやっていればもっと効果が出ていたということです。

この成果を聞いてエントリー意向者を追加募集した。
(希望者はアンケートと一緒に出口の回収ボックスにエントリーシートを提出)

イベントへの反響など

参加者の声から
筋トレ指導はよかったです。動脈硬化のしくみ、運動は足し算という考え方、筋肉をつけないと基礎代謝がおちることなど・・・運動を続けようという動機づけができました。
歩くのは足し算。歩くだけでは足りないこと、筋力をつけることが必要なことは理にかなっていて必要性を強く感じました。
食事制限+有酸素運動だけでなく筋トレも行わないと意味がない、というのは目からうろこでした。意識して取組みたい。
仮面高血圧、職場高血圧のことは、今まで意識していなかったので、これからは気を付けようと思います。
「運動は分けてやってかまわない」→毎日続けるのはむずかしいので、気が楽になりました。できる日に頑張ります。
血圧と血糖値の区分の考え方がよく理解できた。話のネタもたくさん仕込まれることができました。
運動指導、筋トレの必要性を実感した。実践したい。
筋トレコーナーは実際やってみると実感がわいてとてもよかったです。

食事を減らすだけではダイエットにならないという話は、目からウロコでした。

 

一般社団法人動脈硬化予防啓発センター