あなたはメタボ?血管若返り宣言
- 実施日時
- 2007年11月 2日(金) 16:00~18:30
- 場所
- サントリーワールド ヘッド クォーターズ
大会議室(東京 台場)
(〒135-8631 東京都港区台場2-3-3) - 参加
- サントリー株式会社 社員300名
- 講師
- 山科 章 (東京医科大学教授)
寺本 民生(帝京大学医学部教授)
松澤 佑次 (住友病院院長) - 司会
- 久田 直子(NHKきょうの健康キャスター)
実施概要
当日は首都圏の事業所勤務者を中心に、300名ほどの社員が参加。サントリー取締役人事部長栗原信裕様の健康イベント実施についてのご挨拶、井形昭弘動脈硬化予防啓発センター運営委員長の開催宣言のあと、司会の久田直子アナウンサーによる導入説明、動脈硬化の映像上映でイベントはスタート。サントリー健康科学研究所、人事部のご協力によるサントリー社員の健康データを用いた、社員健康度紹介のあと、3人の講師の先生により、動脈硬化の最新情報による解説があり、参加者は熱心に視聴した。イベント後半は、生活改善メニューの発表、そして3人の講師による、Q&A(質疑応答)を行い終了した。
実施した啓発イベントの内容
(1) 会場参加者全員で自己チェック
講師の3先生監修による新たに作成した「動脈硬化度チェックシート」を用いて全員が自分の動脈硬化危険度を調べた。
(2)映像上映
動脈硬化のしくみを紹介するコンピュータグラフィック映像の上映。 (血液中のLDLコレステロールは必要以上に増加すると、血管壁に潜り込み酸化LDLとなる。それをマクロファージが異物と認識し、キャッチして自滅、結果アテロームプラーク<粥状の隆起>が形成される。ストレスで、これがはがれると血栓へ進展するなど、基本のメカニズムを解説)
(3)サントリー社員の健康度
血圧、中性脂肪、HDLコレステロール、血糖値、BMI、メタボリックシンドロームなどの項目でチェック 。
(4)映像で見る血管の老化
山科 章 先生(東京医科大学教授)
血管の構造解説 (動脈は3層の構造を持つ)
動脈硬化のはじまり 内皮機能の障害(弾力度が低下する)
頸動脈エコー測定器を使った血管映像 実演
最近の画像診断の進歩 心血管MR全身MIP画像、冠動脈CTなど。
(血管の様子を目で見ることができるようになってきた。)
動脈硬化のない頸動脈の血流エコー
動脈硬化の進んだ頸動脈のエコー
(5)あなたは心臓病で亡くなる?10年後のリスク予防策
寺本 民生(帝京大学医学部教授)
10年後の冠動脈疾患死亡のリスク評価チャート解説
(動脈硬化学会発表のデータ)
心臓病の危険因子 (複数のリスクあり)
コレステロール 現在はLDL値に注目
いまやアメリカを追い越す勢いで日本人の値は増加傾向
食事、運動量など、生活環境の変化が背景にある。
心血管疾患の対策
食事と運動プラス薬物療法
魚食の意義
飲酒はほどほどに、また禁煙は絶体厳守(禁煙で心臓病は半減する)
薬物療法について
「動脈硬化度チェックシート」の解説(生活改善の重要性を強調)
日本人の高コレステロール血症人口
コレステロールをたくさん含む食品をひかえる
(6)メタボリックシンドロームは動脈硬化の"序曲"
松澤 佑次 先生(住友病院院長)
メタボリックシンドロームとは
危険因子の保有数と虚血性心疾患発症オッズ比
(高BMI 、高血圧、高血糖、高トリグリセライド血症、これらが重なることにより、動脈硬化性疾患の発症リスクが高まる)
美術画に見るリンゴ型肥満と洋梨型肥満 (肥満には大きく分けて2つのタイプがある)
メタボリックシンドロームを診断する目的は、病気であるか、 健康であるかを見分けているのではない。
脂肪細胞から分泌される活性物質(数多くの活性物質が分泌されている
例として善玉アディポネクチン)
アディポネクチンを増やすには
減量、内臓脂肪の減少、大豆タンパク、日本型食生活が有効、 適量の飲酒、禁煙など。
内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満
脂肪細胞
(7)血管を若返らす!「生活改善メニュー」発表
1. 運動1日10,000歩
たとえば自宅から駅まで自転車やバスをご利用の方は、徒歩に切り替えてみたり、社内での移動をエレベーターから 階段にするなどで歩数をかせぐなどの工夫を。
2. 食事は、肉より魚、野菜は毎日、腹八分目を。
野菜または海藻類を毎日1食以上。週に5食は魚料理を。揚げ物は避ける。
肉料理は赤身を選び、脂肪分はできるだけ避ける。
3. 一日も早い禁煙を。禁煙だけで脳卒中や心筋梗塞で亡くなる率が半減します。
その方法としては、ニコチン代替療法(ニコチンガム、 ニコチンパッチ)、禁煙外来などを活用する。
山科先生によるポイント解説・・・心構えを解説、継続することが大切なポイントであることなど説明。 本日参加の社員にむけ、この改善メニューに取り組み、健康を取り戻す本メニューに挑戦することを呼びかけ。
(8)メタボリックシンドロームは動脈硬化の“序曲”
松澤 佑次 先生(住友病院院長)
(質問)メタボリックシンドロームの判断基準が「男性の場合、ウエスト85㎝以上というのは若干厳しすぎるのではないか?」
(松澤先生)ひとつのめやすとして決めたもの、血液のデータなど体全体の症状をきちんと把握するのが基本です。
・・・など、参加者と講師による活発な質疑応答が行われた。
イベントへの反響など
<サントリー社 実施後アンケート調査>から
5段階評価(非常によかった5点、よかった4点、どちらでもない3点、あまりよくなかった2点、よくなかった1点)での平均値は4.6と高い評価。
参加者からは約50名の「生活改善メニュー」挑戦希望者が誕生した。(取り組み開始より1年後の2008年11月をゴールに置き、「数値改善」をめざす)
参加者の声から
普段、血管を意識することはなかったが、動脈硬化がどう進むのか、また健康維持にとってどんな意味があるのかよく理解できた。
先生の説明もとてもよかったと思う。あとは生活改善に本当に取り組めるのかが問題。生活改善メニューの提案はありがたかった。
長時間であったが、興味がわいてきて最後まで真剣に聞けた。
講師からのご意見
「こうした草の根的活動こそ本当に大切なことと考えている、意義深いイベントであったと思う」
(寺本 民生先生)
「本当に良いイベントだった。今後、実際に国民全体の健康に役立つイベントとして発展を願う」
(山科 章先生)